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<草>の働き

2023年7月8日のABCは、 <草>の働き というテーマです。  これまで、<無文字文化>、 <見立て>、<三体>そして<二軸楕円形>と、一般の歴史では使われない概念を導入して、主として日本の美と知の歴史を見直そうとしてきました。こういう概念を取り入れることによって、「日本」を「世界」の広がりのなかで観る視点も見つけられるのではないか、という予感もありました。(そしていままでのところ、なかなかう […]

〈文字文化〉時代を支えた〈二軸〉

今回のタイトルは、 〈文字文化〉時代を支えた〈二軸〉 です。 日本列島における美と知の活動だけでなく、思想(思惟)活動/行為そのものが、〈二軸楕円形〉であること、その起源が〈無文字文化〉と〈文字文化〉であり、こんにちの〈文字文化〉の時代にあって、〈無文字文化〉が大きな働きをして、現代の〈文字文化〉を生かしていること、そしてこの二軸がそれぞれのジャンルで独自の表出形態を採って来た(文学美術工芸芸能に […]

宗達の『伊勢物語』

 日本の美と知の歴史の流れを観察していると、その思惟構造が「二軸(中心二つ)」である(二軸だから、おのずからその形は楕円形に収まる)ことが見えて来る、そのひとつの大きな結実が—別の言いかたをすれば、二軸による動きに基づく思考の現れかたのうねりから生まれてきたのが—「伊勢物語型」と「源氏物語型」ではないか、そんなことを考え巡らしてきました。そうして、『伊勢物語』と『源氏物語』の文体の特徴を、原文を拾 […]

「伊勢物語」型と「源氏物語」型

五月二十日のABCは、めったに使うことのない波止場会館の大会議室2です。 (予約に遅れをとりました。卯年生れですからしょうがないですかねぇ) いつもの4Bの奥です。お間違えのないように。 さて、テーマの方は、 《「伊勢物語」型と「源氏物語」型》 としておきます。 前回、光琳の「燕子花屏風」を眺めながら、光琳は「伊勢物語」派だという推理をしました。 光琳の制作姿勢は、「伊勢物語」の文体と親戚だという […]

「燕子花屏風」の遠近(おちこち)

4月15日から恒例の光琳作「燕子花図屏風」が根津美術館で展示されています。 今回は、この機会に、この屏風を眺める愉しさを繙いてみたいと思います。 名付けて「燕子花屏風の遠近(おちこち)」。    

「写生」をめぐって

2023年3月11日(土)のABCは、 「写生」という言葉を巡って考えてみたいと思います。 「写生」という語を現代では「スケッチ」の訳語ぐらいに受け止めているのがフツーでしょう。 新潮社『世界美術辞典』もそんな解説をしています。 これは、明治以降、ヨーロッパの芸術思想を学んで行こうとする結果、定着した観念・定義です。 そして、その言葉は、美術の領域だけではなく、文学(正岡子規)でも、さらに文章教育 […]

「ちはやぶる」歌に辿る日本の美と知の細道散歩

二〇二三年二月二十五日の〈土曜の午後のABC〉は、  「ちはやぶる」歌に辿る日本の美と知の細道散歩 と名付けてみました。 考えたいことは、前回の続き、というか、そのまとめの試みです。 つまり、「ちはやふる…」の和歌一首が辿らせてくれる日本の美と知の歴史の旅なのですが、「歴史の旅」とはちょっとおおげさかな、と「歴史の細道散歩」としてみたわけです。 この歌は、「龍田川」というテーマで、その後一千年に亘 […]

屏風歌から落語へ—「ちはやぶる」歌の想像力

二〇二三年一月二十八日の〈土曜の午後のABC〉は、前回ちょっと触れた在原業平の「ちはやぶる」歌に焦点を当ててみようと思います。 この歌一首から、二つの興味深いテーマが拾えます。 一つは、枕詞「ちはやぶる」の運命とでも名付けますか、日本の文学芸術の歴史の流れのなかで、まさに龍田川の紅葉のように色と形を変えつつ現在にまで流れてきているその言葉の変容振りです。そして、その変容が現在へ問いかけるものを考え […]

鎌倉時代の伝統と近代—作品のない美術史より

暦が新しくなりました。 2023年と書くと、あ、100年まえの1923年9月は関東大震災だったな、と。そして、ことしは卯年だと思うと、12年前の卯年には東北大地震があったな、と喜ばしい連想は押しやられて、こんなことをまず思い浮かべてしまいました。 どんなことがあるかもしれませんが、そのときそのとき出来ることを精いっぱいやっていけたらと、願っています。 みなさんにとって、よい一年になりますように。 […]