<草>の働き

2023年7月8日のABCは、

<草>の働き

というテーマです。

 これまで、<無文字文化>、 <見立て>、<三体>そして<二軸楕円形>と、一般の歴史では使われない概念を導入して、主として日本の美と知の歴史を見直そうとしてきました。こういう概念を取り入れることによって、「日本」を「世界」の広がりのなかで観る視点も見つけられるのではないか、という予感もありました。(そしていままでのところ、なかなかうまく行ってるという手応えもあります!)そこで、今回、光を当てたいのは<草>です。

<草>は書の世界で言い慣わされている<三体>「真(楷)、行、草」の「草」ですが、これが、日本の思想風土とその歴史にあっては、じつに重要な役割を演じているようです。

 今回は、ABCでの勉強と並行して『八雁』に連載しているエッセイに、この<草>を取り上げ、5月6月とABCで勉強してきたことを<草>の観点からまとめてみましたので、それをお送りします。この原稿に沿いながら<草>の問題、その意味深さを考えてみたいと思います。