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語る『古事記』、書かれた『古事記』

《語る『古事記』、書かれた『古事記』》 というタイトルで、これまで勉強してきたことを整理してみたいと思います。 『古事記』を素材に<無文字文化>と<文字文化>の問題を考えようとして、あらためて『古事記』を読み出したわけですが、テクストの読み方一つとっても、伝統的な慣習で読まれている( 露伴のいう「雲の影」にいることを反省していない,ボク自身その影に囚われていると思う)ところが多々あり、予想以上に納 […]

<岡倉覚三「泰東巧藝史」について>(岡倉天心研究会)

2月18日(日) 横浜技能文化会館4F、岡倉天心研究会主催の集まりで、<岡倉覚三「泰東巧藝史」について>というタイトルのもと話をいたします。 岡倉には「日本美術史」が全集(平凡社)に収録されていますが、これは20代に美術学校で行った講義ノートを書き起したもので、それから25年岡倉は美術史について常に考え勉強し思索を深めて来ました。『東洋の理想』もその過渡期の一篇で、それから七年、岡倉はさらにボスト […]

露伴の「雲の影」に学ぶ

カレンダーが新しくなりました。2024年最初のABCを1月20日(土)14:00〜17:00 波止場会館4Bで開きます。 去年から「古事記」から日本列島における<美>の行為の初源の姿を読み出すというテーマのもと、「古事記」の文章を追って来ました。そのさい、そうして読んでいく「古事記」の文章から示唆される近代の思想家芸術家の言葉を拾い上げ、その言葉と古事記のメッセージが響き合うところに生まれる思想の […]

『古事記』とその雲の影

2023年最後のABCのタイトルは、「『古事記』とその雲の影」です。 『古事記』を読みながら、その一節から近代の詩人や思想家の詩文を連想して、というより釣り上げて、そこに響き合うメッセージを確かめるということを、これまで二回試みてきました。三回目は幸田露伴です。今回の「雲の影」というのは、じつは彼の小さいエッセイのタイトルなのです。 露伴がそこで「雲の影」を絶妙な比喩として使って、時代思潮の運命を […]

古事記—美から利へ—

11月11日(土)のABCでは、古事記の冒頭部分の読み直しを試みました。 そこで、「天」という文字は「アマ」と訓じるべきこと。 古代列島、東アジア大陸に住んでいた人は、人の生命活動、集団としての生命のかたちとそれを作り育てる勢いを、植物とくに草と同種と観ていたこと。したがって、「身を隠す」という記述は「土中に入る=根となる」と読めること。 そして、「葦」の一句がパスカルを呼び、パスカルから「弱さの […]

『古事記』―想像力の坩堝

11月11日(土)のABCは、波止場会館4A(14:00〜17:00)です。 『古事記』―想像力の坩堝というタイトルをつけてみました。『古事記』を、あれは歴史書(正史)ではない、とか、では神話かというと神話ではないとか、いろいろな議論はありますが、とにかく8世紀の始め、文字という記号を使って日本列島に起った出来事を記録しようとした最初の書物であることは確かです。「日本」という国が、自分の出自をまと […]

異分野からの声に学ぶ

ホームページのイントロエッセイとプロフィルを更新しました。読んで下さい。 さて、8月5日(土)のABCで、予定していたテーマ「日本最古のオノマトペを探して」に入る前に、その日発売された『動物たちは何をしゃべっているのか?』という本を紹介しました。紹介と言っても、まだ書店に並ぶ前に、運良くその本の出版元関係に勤めている森山くんに手に入れてもらってきたので、なかにどんなことが書かれているのか、深いとこ […]

<日本最古のオノマトペを探して>

<日本最古のオノマトペを探して>などと看板を掲げましたが、オノマトペは、擬音語、擬声語、擬態語を指す、ギリシャ語起源の西洋語です。 ギリシァ語でonoは「名」「名前」を意味し、pe はpoiesis の変化形で「作る」を意味します。 ボクは、無文字文化とオノマトペは深いつながりがある、というより、無文字文化はオノマトペに支えられている、と考えてきました。最近この分野の研究が言語 […]

<草>仮名は声の形の<見立て>である

7月21日(金)のABCはzoomのみです。 前回お配りしたまま、読むことが出来ませんでした『八雁』2023年7月号に載せたボクの原稿、このエッセイは、通しタイトルはプルーストをもじって《「失われた時」を見出すとき》として、各回の原稿のタイトルは付けていないのですが、もし付けるとしたら、 <草>について、と言ったところでしょうか。<草>という素晴らしい言葉を書道界の人たちに独り占めさせておくのはも […]

<草>の働き

2023年7月8日のABCは、 <草>の働き というテーマです。  これまで、<無文字文化>、 <見立て>、<三体>そして<二軸楕円形>と、一般の歴史では使われない概念を導入して、主として日本の美と知の歴史を見直そうとしてきました。こういう概念を取り入れることによって、「日本」を「世界」の広がりのなかで観る視点も見つけられるのではないか、という予感もありました。(そしていままでのところ、なかなかう […]