『古事記』とその雲の影
2023年最後のABCのタイトルは、「『古事記』とその雲の影」です。 『古事記』を読みながら、その一節から近代の詩人や思想家の詩文を連想して、というより釣り上げて、そこに響き合うメッセージを確かめるということを、これまで二回試みてきました。三回目は幸田露伴です。今回の「雲の影」というのは、じつは彼の小さいエッセイのタイトルなのです。 露伴がそこで「雲の影」を絶妙な比喩として使って、時代思潮の運命を […]
2023年最後のABCのタイトルは、「『古事記』とその雲の影」です。 『古事記』を読みながら、その一節から近代の詩人や思想家の詩文を連想して、というより釣り上げて、そこに響き合うメッセージを確かめるということを、これまで二回試みてきました。三回目は幸田露伴です。今回の「雲の影」というのは、じつは彼の小さいエッセイのタイトルなのです。 露伴がそこで「雲の影」を絶妙な比喩として使って、時代思潮の運命を […]
11月11日(土)のABCでは、古事記の冒頭部分の読み直しを試みました。 そこで、「天」という文字は「アマ」と訓じるべきこと。 古代列島、東アジア大陸に住んでいた人は、人の生命活動、集団としての生命のかたちとそれを作り育てる勢いを、植物とくに草と同種と観ていたこと。したがって、「身を隠す」という記述は「土中に入る=根となる」と読めること。 そして、「葦」の一句がパスカルを呼び、パスカルから「弱さの […]
11月11日(土)のABCは、波止場会館4A(14:00〜17:00)です。 『古事記』―想像力の坩堝というタイトルをつけてみました。『古事記』を、あれは歴史書(正史)ではない、とか、では神話かというと神話ではないとか、いろいろな議論はありますが、とにかく8世紀の始め、文字という記号を使って日本列島に起った出来事を記録しようとした最初の書物であることは確かです。「日本」という国が、自分の出自をまと […]
ホームページのイントロエッセイとプロフィルを更新しました。読んで下さい。 さて、8月5日(土)のABCで、予定していたテーマ「日本最古のオノマトペを探して」に入る前に、その日発売された『動物たちは何をしゃべっているのか?』という本を紹介しました。紹介と言っても、まだ書店に並ぶ前に、運良くその本の出版元関係に勤めている森山くんに手に入れてもらってきたので、なかにどんなことが書かれているのか、深いとこ […]
<日本最古のオノマトペを探して>などと看板を掲げましたが、オノマトペは、擬音語、擬声語、擬態語を指す、ギリシャ語起源の西洋語です。 ギリシァ語でonoは「名」「名前」を意味し、pe はpoiesis の変化形で「作る」を意味します。 ボクは、無文字文化とオノマトペは深いつながりがある、というより、無文字文化はオノマトペに支えられている、と考えてきました。最近この分野の研究が言語 […]
7月21日(金)のABCはzoomのみです。 前回お配りしたまま、読むことが出来ませんでした『八雁』2023年7月号に載せたボクの原稿、このエッセイは、通しタイトルはプルーストをもじって《「失われた時」を見出すとき》として、各回の原稿のタイトルは付けていないのですが、もし付けるとしたら、 <草>について、と言ったところでしょうか。<草>という素晴らしい言葉を書道界の人たちに独り占めさせておくのはも […]
今回のタイトルは、 〈文字文化〉時代を支えた〈二軸〉 です。 日本列島における美と知の活動だけでなく、思想(思惟)活動/行為そのものが、〈二軸楕円形〉であること、その起源が〈無文字文化〉と〈文字文化〉であり、こんにちの〈文字文化〉の時代にあって、〈無文字文化〉が大きな働きをして、現代の〈文字文化〉を生かしていること、そしてこの二軸がそれぞれのジャンルで独自の表出形態を採って来た(文学美術工芸芸能に […]
五月二十日のABCは、めったに使うことのない波止場会館の大会議室2です。 (予約に遅れをとりました。卯年生れですからしょうがないですかねぇ) いつもの4Bの奥です。お間違えのないように。 さて、テーマの方は、 《「伊勢物語」型と「源氏物語」型》 としておきます。 前回、光琳の「燕子花屏風」を眺めながら、光琳は「伊勢物語」派だという推理をしました。 光琳の制作姿勢は、「伊勢物語」の文体と親戚だという […]