プルースト『失われた時を求めて』の森へ(5)ミルク売りの少女

1月に読んだ「車窓から見る日の出」の描写と、それからすぐに続く「谷間の小さな駅のミルク売りの少女」との出会い(「出会い」と言えるかどうか、むしろ「少女を発見」と言ったほうがふさわしい)—これは、「日の出」の三倍くらい長い文章量ですが、そこを新たな気持で訳してみました。
「車窓の日の出」は『失われた時を求めて』のなかでも美しい、というかイメージ豊かな文章で、ボクは以前ABCで読みました、「祖母さんが眺めるサン・ティレール教会の鐘塔」の場面などと並んで、とても好きな一節です。で、ここだけを取り出して充分たっぷりプルーストと共にいる時間が過ごせたのですが、この「日の出」の一節は、次の「ミルク売りの少女」の節と密接につながって、プルーストの思想を伝えてくれる(というより読み出させてくれる)節です。