いつも、美味しいパンを焼いているので、遠くても買いに行く店がある。そんな店でも、食パンは、スライスして売っているのに吃驚する。というか、がっかりする。とくに夕刻、店仕舞いの時間が近づくころ、そうなのである。
家で切る手間を省くというサーヴィスをやっているのか、販売利益の効率など、いろいろ訳はあるのだろう。それにしても、食パン(パン・ド・ミー)をあらかじめスライスして売るというのは、食パンをわざわざ不味くして売っていることなのである。切り口は、時の経過とともに痩せていく。それを見ると、パンが可哀想になる。焼き上げた固い皮にくるまれて、パンの美味しさは保たれているのである。
食べる直前にパンを切るのを面倒だという考えを、まずあらためよう。お米と同じように、パンもまた、素の味わいこそ無限なのだ。
2013.6.16