露伴の「雲の影」に学ぶ

カレンダーが新しくなりました。
2024年最初のABCを1月20日(土)14:00〜17:00 波止場会館4Bで開きます。

去年から「古事記」から日本列島における<美>の行為の初源の姿を読み出すというテーマのもと、「古事記」の文章を追って来ました。そのさい、そうして読んでいく「古事記」の文章から示唆される近代の思想家芸術家の言葉を拾い上げ、その言葉と古事記のメッセージが響き合うところに生まれる思想の戯れというには深刻な姿を見つけようともしてきました。

その一つがパスカルの「考える葦」(『パンセ』)であり、大自然のなかで最も弱い存在である一本の「葦」が「考える葦」であることによっていかにかけがえのない存在としてわれわれを励ましてくれているか、「古事記」もまたその大切さを含みとして最初期の神々の「美」と「芸」の振舞いを語っていることを見つけようとして来たことなど、読むことが出来ました。

去年の最後のABCでは、幸田露伴の「雲の影」というエッセイの書出しを朗読して、現在の「古事記」の読み方にどんな影がさしているかをつねに気遣うことの大事さを教えてもらおうとしたのでした。

そして、今回は、この「雲の影」を全文読んでみたい、それを年頭のテーマにしたいと用意しました。
そこで、1月20日(土)のABCのタイトルは、
《露伴の「雲の影」に学ぶ》
といたします。

<無文字文化>と<文字文化>の接点にあって書かれた「古事記」は、われわれをいろんなところへ旅させてくれるようです。