イタリアから帰ってきて、蕎麦や焼魚や味噌汁、寿司、あるいはラーメンとかカレーとかへ向っていたが、久し振りに、泰明小学校の前にある「オ・バカナール」を訪れた。と、シェフが、今日のメニューには載せられないけど、山鴫(やましぎ)が一羽入ってます、いかがです、という。そんなジビエは予期していなかったが、これはいただかないわけにはいかない。
前菜には、シェフが自分の楽しみに作っているという(つまりこれもメニューに出していない)生ハム(これが美味い!)が出て、山鴫のローストを堪能させてもらった。その濃厚な熟成した味を満喫したあとは、チョコレート(ガト・チョコラ)のデザートとエスプレッソコーヒー。そして、ディジェスティヴ(消化酒)のカルヴァドスは、もう欠くことのできない食の道で、思いがけない美食の一夜となったのであった。
こんな異国の狩猟民族の精粋ともいうべき料理を、こんなふうに熱心に追求しているシェフがいる。美味いものを食わしてもらったということより、そういうシェフの情熱に出会えたことに、感動したい。他者(異国)を知り、他者を理解し、他者を愛するためには、この情熱がなくてはならない。
2011.11.24