ボクは書き味の悪いペンを愛用する。
いちばん大事にしてきたのは、25年前、神保町の金ペン堂の親父さんが勧めてくれて買ったペリカンの万年筆である。これは最高の書き味である。さすが、金ペン堂の親父さん!
しかし最近草稿を作るときなぞ、消し跡を残さなくていいfrixionを使うことが多くなった。frixionの書き味がいいわけではない。考えては消し、書き直しては消すという作業に、frixion は気軽に応じてくれる。それが、自分の考えを練り直してくれるのに役立つ。
そうして少し難儀ながら書いているとき、ふとfrixionをやめてペリカンで書いてみると、その滑らかな筆先の動きに救われたような気持になって感動するのも確かだ。
文章を綴るとき、考えていることをすらすらと書けるペンがいいのか。書き心地はあんまりだが、ペンと格闘しながら考えを練って書くのがいいのか。かんたんにどっちだと決めつけはできない。
ボクは、原稿は紙に手書きで草稿を作り、それをワードに打ち込む。日本語は欧文と異って、文字の形や形に伴う声(文字から聞こえる無音の声)がついてまわっていて、それを大切に文章を書きたいと思うと、まずペンを執って紙に誌すところから始めずにはいられないからだ。
(2025.11.16)