なんだか不順な日の繰返しだった夏が過ぎ、スープのなつかしい季節になった。
スープといえば、スプーンが不可欠で、スプーンでスープをいただくのは「飲む」というのだろうか、「食べる」というのだろうか。
若い頃『斜陽』を読んで、それ以来、もっとも格好よい「スウプ」のいただきかたは、あのかず子のお母さまのいただきかたと納得し、それを会得しようとしてきた。いまだにこれは身につかないないが、ボクの理想のスタイルである。
その後、「イル・ポスティーノ」という映画をみたとき、離れ島の父子が、独特のスプーンの持ちかたをしていて、ときどき真似をしてみる。自分で作る質素なスープに、それはとても似合っていると思ったものだ。
スプーンの持ちかたで、スープの味も変化し豊かになりはしないだろうか。
2009.10.28