あれから一年

「3.11」(サン・テン・イチイチ)という言いかたを、ボクはしたくない。「3月11日」(サンガツ・ジュウイチニチ)と、ていねいに呼びたい。「2011年の3月11日」とゆっくり発語しているそのなかで、押し寄せる津波や爆発する原子力発電所の建屋、相馬の友人が語っていた廃墟に群がる烏、地震と津波と原発事故で滅茶々々にさせられた人たちの顔、顔、顔、声、仕草が甦るように浮んでくる。

「3.11」と呼ぶと、あのときの出来事がレッテルを貼られた書類ケースのようにやりとりでき、「9.11」と同じ出来事のように語ってしまいそうになる。というより、「3.11」「9.11」……とあたかも高度な記号を扱う姿勢ではなく、つねに個々の出来事の襞に分け入り、その個々の出来事を自分の問題に置き直して考える思考回路を持ち続けねばと思う。

2012.2.29