変容への意志

〈3.11〉がわたしたちの思考に告げた一つの大切なこと; それは、それまで当然のように、日々の生活の基本要素として受け止めていたことが、ふいにかんたんに、崩壊してしまうということだった。

この出来事は、あの日だけ「例外」的に起ったのではない。人間の生活というのは、そういう突然の崩壊をつねに抱えている。生きていくということは、そういう崩壊・変貌を、それこそを「当然」のことと考えて日々を営むことでなければならないのではないか。そういう思考を、わたしたちの一人ひとりの内面に育てていく生きかたを、確認し合っていきたい。

2011.7.24──今日の正午、TVのアナログ放送は、権力的に廃止される。これはわたしたちの生活からアナログ思考を奪うことにほかならない。それに対抗するためには、アナログ放送を続けさせる運動をすることではなく、一つの大きな思考手段を奪われてもなお、アナログ思考を続けていく力を、一人ひとりのわたしたちが、自分のなかに保ち続けていくことである。

2011.7.24