二月は旧い暦では正月だ。
梅だけではない、土の色も、空の色も、春の予感を、ちょっともったいぶってみせている。
枯れたような黒い色をむきだしにしていた桜の枝が、ほのかに薄桃色を滲ませている。
季節(とき)の移りかわりの「かわり」には、どんな漢字がふさわしいだろう。
「替り」は政権交替みたいで、無粋も無粋。
「代り」というのも、入れ代えただけのようで、もの足らない。
「変り」は、化学変化をみせつけられて感心しているだけのようになってしまう。
「換り」と書いても、この色の予感を表すにはほど遠い。
季節のかわりだけではない、ひとつの出来事を表す文字は一つだけでは決まらない
2011.2.16