旧暦を忘れないために

2011年1月1日は、旧暦で数えると、庚寅の霜月(十一番目の月)二十七日なのだが、1月を「睦月」「正月」と言い換え、「2月」は「如月」、「3月」には「弥生」と並列して書いているのを、よく見かける。そう置き換えて、旧い慣し(歴史)を少し学び、現代へ気を配ったつもりなのだろうが、それは、逆に、旧暦を日乾しにしている、現代人の無情な振舞いでしかない。そういうことが平然と行われているのが、気になる。

せめて、旧暦はきちんと数える習慣を忘れないようにしたい、と思って、何年か前から、年賀状は旧暦の正月に書いてみようと思い立った。以前にもこの欄で、「6月」を「水無月」と書き換えるのは新漢字を旧漢字に書き換えるのとは違う問題だ、もっと深い歴史認識が必要だ、と書いたが、必要なのは、歴史認識というより歴史というものへの「愛」だ、といったほうがいいかもしれない。

来る年が、誰にもみんな(ボクにも)、納得のいく歳となることを願って──

2011.1.21