岡倉覚三「日本美術史」 図版集

図版は断りのない限り『稿本 日本帝国美術略史』[明治34年刊]より転載。

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推古以前

図1 日の岡石廊内模様
図2 九州磐井古墳石人(帝室博物館蔵)

稿本には以下のような説明がある。
「この石刻人像は筑後の国八女郡長峰村岩戸山にあった。紀元後527年、継体天皇の時代に朝廷に叛乱して課せられた磐井氏が生前に作った墓に置いたものである。墓跡は岩戸山にある。以前は石人石盾各60枚、石猪4頭 、石馬3頭並列させ墓を守っていたという。この像の外に、岩戸山には石刻武人像4乗が現存する。損傷がはげしいが高さ4尺(1m20cm)前後、刀と矢を持ち、部分に種の赤色痕がのこる。」

図3 伝仁徳陵 石室内石棺(復元・堺博物館)
図4(左) 高取城跡の猿石

吉備姫王墓の一角に4体の石人像が並び、背面にも動物の顔をつけるこの石像は江戸時代に発掘されており、あるいは岡倉はこの石人像を念頭に置いていたのかもしれない。

図4(右) 石神遺跡出土の石人像

「一つの石像の前後に男と女の像を刻む」と岡倉が言及する奈良出土の石人像として、こんな像が思い浮かぶが、これは記録によれば、明治35年(1902)年に発掘されているので、このものではない。これに同類する石像を見ていたのだろう。

図5 埴輪
図6 甲冑
図7 鈴鏡(帝室博物館蔵)

稿本では、漢鏡は中国製であるという理由で掲載されていない。中国朝鮮に例をみない鈴鏡が一点掲載されている。それを岡倉は見ているはずなので、ここに引用掲載する。

図8 刀剣